「痛い・しみる」に寄り添い、生涯の健康を育む一般歯科
「歯が痛い」「冷たいものがしみる」「詰め物が取れてしまった」
そうしたお口のトラブルで、最も身近なご相談窓口となるのが「一般歯科」です。
主にむし歯や歯周病の治療、そして詰め物やかぶせ物で歯の機能を回復させる治療などを指します。
近年では、歯並びを整える矯正治療や、歯の白さ・美しさを追求する審美治療といった専門分野も増えてきました。
それらと区別する形で、保険診療を中心とした基本的な歯科治療を「一般歯科」と呼んでいます。

当院の治療方針「治療よりも予防を大切に」
私たちが治療において最も大切にしている、そして皆様に一番にお伝えしたい想いがあります。
それは「できるだけ、削らない。できるだけ、抜かない」という、ご自身の歯を最大限に尊重する治療方針です。
一度削ってしまった歯や抜いてしまった歯は、二度と元には戻りません。どんなに精巧な詰め物やかぶせ物も、神様が作ったあなたご自身の天然の歯には敵わないのです。
むし歯はお口の中にいる細菌による「感染症」であり、一度かかってしまうと自然治癒することはありません。そして放っておけばむし歯は静かに、しかし確実に進行し、歯を削る量は増え、治療の痛みや費用、期間の負担も大きくなります。
最悪の場合、大切な歯を失うことにも繋がってしまいます。
だからこそ、私たちは「治療」そのものよりも、そもそも治療が必要ない状態を維持する「予防」こそが、最高の歯科医療であると考えています。
とはいえ、日々の生活の中で、どうしてもむし歯ができてしまうこともあります。
その場合は、どうぞご安心ください。私たちは、悪くなってしまった部分に対して、精密な診査・診断のもと、削る量を最小限にとどめる「ミニマルインターベンション(最小限の介入)」という考え方に基づいた治療を行います。
あなたの歯を1本でも多く、1日でも長く健康な状態で未来へ残していくこと。
それが私たちに課せられた最大の使命です。
むし歯の進行段階と当院の詳しい治療法
むし歯はその進行度合いによって大きく5つの段階に分けられます。それぞれの段階で症状や治療法が大きく異なります。ご自身の状態をイメージしながらご覧ください。
- C0:削らずに治せる「初期むし歯」
-
症状と歯の状態
この段階では痛みやしみるといった自覚症状は全くありません。歯の表面が少し白く濁る程度の、ご自身では気づくことが難しい変化です。歯科健診などで発見されることがほとんどです。
歯の表面を覆うエナメル質から、ミネラル成分が少しだけ溶け出している状態です。「脱灰(だっかい)」とも呼ばれます。まだ歯に穴は開いておらず、むし歯の一歩手前の「要注意サイン」と言えます。詳しい治療法
この段階の最大の希望は、歯を削らずに治せる可能性があることです。溶け出したミネラルを再び歯に戻す「再石灰化(さいせっかいか)」という、人間の唾液が持つ素晴らしい治癒力を促進させます。
当院では高濃度のフッ素を歯の表面に直接塗布することで、歯質を強化し再石灰化を強力にサポートします。そして何より大切なのがご自宅でのセルフケアです。お一人おひとりに合った正しいブラッシング方法を、歯科衛生士が丁寧にお伝えします。
- C1:歯の表面だけの「エナメル質う蝕」
-
症状と歯の状態
この段階でもまだ痛みを感じることはほとんどありません。しかし歯の表面に小さな黒い点や着色がみられることがあります。
脱灰が進み、歯の表面のエナメル質が溶かされてごく浅い穴が開いてしまった状態です。むし歯はエナメル質の内部にとどまっており、まだ神経には遠い場所にあります。詳しい治療法
この段階ではむし歯になってしまった部分だけを最小限に削り取ります。そして削った部分に「コンポジットレジン(CR)」と呼ばれる白いプラスチック系の材料を詰めて修復します。
CRは粘土のように柔らかい状態で歯に詰め、特殊な光を当てることで固まります。治療は通常1回で完了し、保険適用で見た目も白く自然な仕上がりになるのが特長です。
- C2:冷たいものがしみる「象牙質う蝕」
-
症状と歯の状態
「冷たい飲み物でキーンとしみる」「甘いものを食べると痛む」。そんな明確な自覚症状が現れ始めます。これはむし歯が歯の内側にある象牙質まで進んだサインです。
象牙質はエナメル質より柔らかくむし歯の進行が速いのが特徴です。また象牙質には神経に繋がる細い管があるため、刺激が伝わりやすくなり痛みを感じます。詳しい治療法
この段階の治療では、むし歯に侵された象牙質を全て丁寧に削り取る必要があります。削る範囲が小さい場合はCRを詰めることもありますが、多くの場合、歯の型取りをして技工所で精密な詰め物(インレー)を作製します。
インレーの材質は保険適用の金属から、見た目が自然なセラミック(保険適用外)まで様々です。型取りから装着まで通常2回程度の通院で治療が完了します。
- C3:ズキズキ痛む「神経まで達したむし歯」
-
症状と歯の状態
何もしなくてもズキズキと脈打つように激しく痛むようになります。温かいものがしみたり、夜も眠れないほどの痛みに悩まされたりすることも少なくありません。これは歯の神経が炎症を起こしている証拠です。 むし歯が象牙質を突き破り、歯の中心部にある神経や血管の集まりである「歯髄(しずい)」にまで達してしまった状態です。詳しい治療法
この段階では残念ながら歯の神経を取り除く治療「根管治療(こんかんちりょう)」が必要になります。これは歯を抜かずに残すための、最後の砦ともいえる重要な治療です。
麻酔をしっかり効かせた上で、むし歯と感染した神経を丁寧に取り除きます。
そして根管の中を専用の器具で隅々まで清掃・消毒します。完全にきれいになった根管に再感染を防ぐための薬剤を詰め、土台を立てて歯を補強した上で歯全体を覆うかぶせ物(クラウン)を装着し、歯の機能と形を回復させます。
- C4:歯の根だけが残った「末期のむし歯」
-
症状と歯の状態
C3の激しい痛みの時期を過ぎると神経が完全に死んでしまい、一時的に痛みがなくなることがあります。しかしこれは治ったわけでは決してありません。
歯の頭の部分(歯冠)がむし歯でほとんど溶けてなくなり、歯の根だけが残った状態です。歯を残すための土台を立てることすら困難な場合が多くなります。詳しい治療法
この段階まで進行してしまうと、多くの場合、歯を残すことができず「抜歯」という選択をせざるを得ません。
抜歯後は、失われた歯の機能を補うために「ブリッジ」「入れ歯」「インプラント(保険適用外)」といった治療法の中から、患者様のご希望や口腔内の状態に合わせて最適な方法をご提案します。
当院の総合的な治療へのこだわり
私たちはむし歯治療以外にも、皆様のお口の健康を生涯にわたって支えるための様々な取り組みを行っています。
- 痛みを極力抑えた、やさしい治療
- 歯医者さんへの苦手意識の多くは「痛み」への恐怖から生まれます。麻酔注射を行う場合はまず「表面麻酔」のジェルを塗り、歯ぐきの感覚を麻痺させます。
そして痛点の少ない場所を選び、極細の注射針を用いてゆっくりと麻酔液を注入します。お子様でも気づかないうちに麻酔が終わっていたというような、優しい治療を心がけています。
- 歯周病への取り組み
- 歯を失う最大の原因は実は「歯周病」です。自覚症状が少ないまま静かに進行し、最終的に歯を支える顎の骨を溶かす怖い病気です。
当院では丁寧な歯周検査と、歯石除去やブラッシング指導といった基本治療で歯周病の進行を食い止めます。
- 歯を抜くことについての考え方
- ご自身の歯に勝るものはありません。だからこそ安易に歯を抜きません。しかし無理に残すことで周りの歯に悪影響がある場合は、その理由をきちんとご説明し、ご納得いただいた上で抜歯を行います。
治療の終わりは健康な毎日への始まりです
治療後のセルフケア
治療が終わっても油断は禁物です。むし歯の再発を防ぐには治療後のケアが何より重要になります。 当院ではお一人おひとりに合った効果的なセルフケアの方法をアドバイスいたします。
定期検診という未来への投資
ご自宅のケアだけでは落としきれない歯の汚れや歯石を、専門の機械と技術で徹底的にクリーニング(PMTC)します。これによりむし歯菌や歯周病菌が棲みつきにくい、清潔な口内環境を維持するお手伝いをします。 毎日のご自宅でのケアと、歯科医院での定期検診。この二つを習慣にして、生涯ご自身の歯で美味しく笑える毎日を目指しましょう。
